ピラティスチェアエクササイズ|フロントリフト
今回ご紹介するピラティスチェアを使用したエクササイズは、背中を丸めた状態でシートを押し、身体を空中に浮かせていく「フロントリフト」という種目です。
胸郭の基礎知識とあわせて、エクササイズのポイントをご紹介いたします。
胸郭のアライメント改善に効果的
ピラティスチェアを使ったフロントリフトは、腹筋群や前鋸筋を活性化しやすいので、胸郭や肩甲骨のアライメント改善に効果的なエクササイズです。
胸郭とは、「12個の胸椎・12対の肋骨・1個の胸骨」で構成されている部分で、肺や心臓といった内臓器の保護や、呼吸運動、頭頸部の土台としての役割を担っています。
なお、一般的には肩甲骨は胸郭に含みません。
胸郭のアライメントが崩れている代表的な不良姿勢が、オープンシザースシンドローム姿勢。
オープンシザースシンドローム姿勢とは、肋骨が外旋し、骨盤が過剰に前傾した姿勢のことをいいます。
横から見ると、”開いたハサミ”のように見えるので、”オープンシザースシンドローム姿勢”と呼ばれます。
このような姿勢になると、脊柱本来の生理的弯曲が失われ、見た目の姿勢が崩れるだけでなく、腰痛や肩こりなど、身体の不調の原因にもなるんです。
脊柱は、「7個の頸椎・12個の胸椎・5個の腰椎・1個の仙骨と尾骨」によって構成され、それぞれの部分で弯曲があり、生理的弯曲と呼ばれています。
生理的弯曲があることで、体に加わる様々な衝撃の吸収と分散が可能になるので、身体を守る大切な構造です。
・頸椎:前弯
・胸椎:後弯
・腰椎:前弯
(仙骨-尾骨:後弯)
本来、胸椎には後弯があり、最も屈曲しているのが、第7~8胸椎の辺りです。
ところが、オープンシザースシンドローム姿勢の方は、腰椎から第7~8胸椎の辺りまでが伸展して、第1~3胸椎といった上位胸椎部分が、屈曲の頂点になってしまいます。
すると、胸椎の上にある頸椎も本来の前弯が失われ、頭が前に出た猫背姿勢になります。
いわゆる、ストレートネック姿勢というやつですね。
ストレートネック姿勢の改善のためにも、頸椎の土台となっている胸郭のアライメントを整え、オープンシザースシンドローム姿勢を改善することが大事です。
そこでおすすめしたいのがフロントリフト。
オープンシザースシンドローム姿勢では、肋骨が外旋位になっているため、肋骨を内旋させる腹筋群の活性化エクササイズとして、フロントリフトが効果的なんです!
肩甲骨のアライメント改善
フロントリフトで活性化されるもう一つの筋が、前鋸筋です。
前鋸筋は、肋骨と肩甲骨の間にある筋肉で、肩甲骨のアライメントに深く関与しています。
翼状肩甲という、前鋸筋が弱化することで肩甲骨の内側縁が浮き上がる現象が有名ですね。
前鋸筋が弱化すると、肩甲骨のアライメントが崩れるだけでなく、肩甲胸郭関節の安定性も低下するため、肩関節の可動域制限の一因にもなります。
フロントリフトは、前述の腹筋群に加え、前鋸筋も活性化しやすい種目なので、胸郭や肩甲骨のアライメント改善には、うってつけの種目ですね!
フロントリフトのポイント
それでは、フロントリフトのポイントをご案内いたします!
- ペダルを踏み、シートの中央側面に両手(手根骨部)をついてください。
- 両手(手根骨部)でシートを押しながら背中を丸めます。
- 体重を腕の方へ乗せるようにし、手の上に肩がくる様にしましょう。
- 手根骨でシートを押し、ペダルと共に身体を浮かせます。
- 空中にキープしたまま呼吸を繰り返してください。
- シュラッグ
肩が耳たぶに近づく様に、肩がすくみやすい方がいます。肩甲骨を本来の状態に下げたまま行い、肩甲帯の安定性を高めていきましょう。 - 脊柱の屈曲をキープできない
ある程度の筋力が必要なエクササイズではあるため、脊柱の屈曲をキープできずに崩れる方がいます。回数やスプリングの強度を強めるなどの調整をし、アライメントを保ったまま、できる範囲で行うようにしてください。
オンラインでピラティスについて学べる
今回は、ピラティスチェアを使ったフロントリフトの効果や、ポイントについてご紹介いたしました。
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之