エクササイズ

筋肉痛とピラティスリフォーマーエクササイズ

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おそらく、成人の誰もが一度は経験する筋肉痛。

クライアントの中には、筋肉痛があった方がやった感じがあって好きという方もいれば、翌日に疲労を残したくないから筋肉痛は無い方が良いという方もいます。

実は、筋肉痛になりやすいピラティスリフォーマーエクササイズの特徴がありますので、今回は、筋肉痛の原因からひも解いていきたいと思います。

筋肉痛の原因

筋肉痛は専門的には遅発性筋痛と呼ばれ、運動から8時間以上経過してから痛みを感じ、7日以内に治る症状のことで、3つの原因が考えられます。

①伸張性筋収縮に伴う筋損傷

筋が伸張されながら力を発揮することを伸張性収縮(エキセントリック収縮)と呼びますが、簡単に言うとブレーキ動作に伴う筋収縮のことです。

山登りは下る時に筋肉痛になるという話は有名ですが、まさにこれです。

「レッスン翌日に筋肉痛があった方が、運動した感じがあって好き」という方には、エキセントリックヒップリフトのように伸張性収縮を伴うエクササイズを積極的にメニューに入れると良さそうですね。

反対に、筋肉痛などの疲労感を残したくないというクライントに対しては、そのような種目は避けるようにした方が良いと思われます。

②筋損傷に伴う炎症反応

筋に限らず、組織が損傷すると異物処理のために少なからず炎症反応が起こります。

炎症は身体にとって危険な状態なので、炎症を知らせる神経伝達物質には発痛物質が含まれており、筋肉痛として表出されることがあります。

体内の炎症は火事に例えられるように、家事が発生したら消防車、救急車、パトカーが大きなサイレンを鳴らしながら集結しますよね。

このサイレンが発痛物質だと捉えて頂けるとイメージしやすいかと思います。


③機械侵害受容器が過敏になる

機械侵害受容器とは、身体にとって脅威だと感じる物理的刺激を感知するセンサーのことです。

例えば、物にぶつかったり、切り傷に対して反応するセンサーです。

機械侵害受容器の過敏性には、筋線維と筋衛星細胞で産生される、NGF(神経成長因子)と、GDNF(グリア細胞株由来神経栄養因子)という物質が深く関与しています。

NGFとGDNFは受容器の疼痛閾値を下げてしまうので、痛みを感じやすくなってしまう状態になります。

仮に、本来であれば「100」の侵害刺激が加わると反応するはずのセンサーが、「50」の刺激でも反応してしまう状態になるので、身体は痛みを感じやすくなるわけですね。

NGFやGDNFについて詳しく学びたい方は、こちらの文献がオススメです ↓↓

筋肉痛になりやすいピラティスリフォーマーエクササイズ

筋肉痛になる原因から考えると、エキセントリックヒップリフトや、エキセントリッククアドストレッチのような、遠心性収縮が主となる運動は筋肉痛になりやすい種目です。

そのため、冒頭で述べたようにクライアントの好みに合わせてプログラムに取り入れるか否かを考えていくと良さそうですね。

筋肉痛にまるわる話はホント?

それでは最後に、筋肉痛についてよく耳にする話についても確認していきましょう。

1.筋肉痛の原因は乳酸の蓄積

昔よく言われていた乳酸の蓄積は、筋肉痛(遅発性筋痛)とは関係が無いことが分かっています。

乳酸は運動時の疲労や急性痛に関与する物質ですが、約1時間で運動前のレベルに戻るので、「運動後8時間以上経過してから生じる痛み」という筋肉痛の定義には当てはまりません。

2.年を取ると筋肉痛が遅れてくる?

こちらもよく耳にしますが、無関係である可能性が高いと考えられています。

ラットの研究にはなりますが、疼痛過敏性は若年ラットと加齢ラットで差が無いという報告もあります。

ただ、以下のような研究結果も同時に報告されています。

疼痛過敏性の持続期間は加齢ラットの方が長い
高齢ラットの場合は伸張性収縮負荷中の筋損傷の度合いが大きく、その後の回復が遅延する

そのままヒトに当てはまるかは検討の余地がありますが、高齢者に対する運動負荷量や、運動頻度は考慮する必要があると考えられますね。

3.ストレッチは回復を早めるか?

こちらもよく耳にしますが、ストレッチはあまり効果がなく、逆効果になる可能性もあることが指摘されています。

ただ、筋肉痛が筋損傷や炎症によるものだという前提でのリサーチしかないので、機械侵害受容器の過敏性に対する効果は不明です。

そのうえで、筋損傷や炎症物質の除去という観点では、マッサージが最も効果的であり、コンプレッションウェアや水風呂も多少の効果が認められると報告されています。

疲労感の減少という観点では、マッサージ、コンプレッションウェア、水風呂が効果的です。

今回は、筋肉痛のメカニズムとピラティスリフォーマーエクササイズの関係について解説いたしました。

クライアントの好みに合わせて、エクササイズを使い分けていきましょう!

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

理学療法士
中北貴之

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