首こり改善に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズ
頭が前に出た「フォワードヘッド姿勢」によって、頸部の筋への負担が増えて、首こりの原因になっていることが多くありますが、その他にも「横隔膜」の機能低下が、首こりに影響していることがあります。
今回は、横隔膜の機能解剖と、首こりとの関係について解説いたします。
横隔膜の機能解剖
横隔膜は、肋骨の内側に存在する筋肉で、「肋骨・胸骨・腰椎」から腱中心に付着しており、ドームのような形状をしています。
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横隔膜の特徴の一つが、ドームの高さが左右で違うことです。
正面から見ると、右側の横隔膜の方が高く、左側の横隔膜の方が低くなっています。
横隔膜の下にある肝臓が右側にしかなく、横隔膜の上にある心臓が左寄りにあるため、横隔膜の右側のドームが高くなり、左側が低くなるという構造的な左右差が生じているんですね。
横隔膜は呼吸筋の主役
横隔膜の役割は、なんといっても「呼吸」です。
呼吸には、普段無意識に行われている「安静呼吸」と、運動時など多くの酸素が必要な時に行われる「努力呼吸」があります。
横隔膜は、一日の大半で行われている安静呼吸の約70%を担っていると言われている重要な筋です。
吸気時に横隔膜が収縮し、腱中心(ドームの屋根)が下がることで、肺が膨張するためのスペースを作っています。
そして、呼気時は横隔膜が弛緩して腱中心(ドームの屋根)が上がり、ドームの形状に戻ります。
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横隔膜の機能低下と首こり
では、安静吸気の約70%を担っている横隔膜がうまく機能しなくなるとどうなるでしょうか?
ヒトは呼吸せずに生命維持できませんので、横隔膜が担っていた役割を、他の呼吸筋が代わりに働くことで呼吸機能を維持しようとします。
胸部筋群や頸部筋群の収縮によって肋骨を上方や側方に拡張し、肺が膨らむためのスペースを作ろうとするんです。
そうなると、斜角筋や胸鎖乳突筋、小胸筋などの頸部や胸部の呼吸補助筋が過剰に働くため、首こりの一因となっていることがあります。
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首こりを訴えている方がいたら、
「胸郭を引き上げるような呼吸をしていないかな?」
ということも確認してみましょう!
横隔膜の機能に関わる”ZOA”
横隔膜が適切に機能するためには、「ZOAを確保する」ということが重要になります。
ZOAとは、Zone of Appositionの略称で、横隔膜が弛緩してドーム状になっている状態から、吸気時に横隔膜が収縮して平坦な形になるまでの動く範囲のことです。
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ZOAが小さくなると、横隔膜が動ける範囲が低下してしまうため、ZOAをしっかり確保した状態で呼吸できるようにすることが、横隔膜が適切に機能するためには欠かせません。
ZOAを確保するためには、「横隔膜が付着する肋骨が正しい位置にある」ことが大切です。
オープンシザース姿勢などで、横隔膜が付着している下位肋骨が外旋した姿勢になると、横隔膜は平坦化し、ZOAが小さくなってしまいます。
ZOAを確保するためには肋骨を内旋させる必要がありますが、そこでオススメのピラティスリフォーマーエクササイズが、カールアップ。
ピラティスリフォーマーを活用したカールアップ
カールアップはマットでも実施できるエクササイズですが、ピラティスリフォーマーを活用することで、ハムストリングも同時に活性化しやすくなります。
ハムストリングスを活性化することで、肋骨が内旋する際に協調的に働く”骨盤の後傾”を促すことができるので、より一層ZOAを確保しやすくなります。
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ハムストリングスをしっかりと感じながら骨盤を後傾し、同時に軽くボールを潰す様に力を入れることで、股関節の内転&内旋を促し、股関節内転筋群の収縮も促すことができます。
そして、主に腹斜筋を使って上体を起こす事によって脊柱屈曲-肋骨内旋を行い、リーチングを
することで前鋸筋も一緒に活性化することができるんです。
今回は、首こりの改善に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズとして、カールアップをご紹介しました。
肋骨が外旋位になり、呼吸筋の主役である横隔膜の機能が低下すると、頸部筋群の過使用につながり、首こりの一因になることがあります。
腹斜筋群や前鋸筋、ハムストリングスを促通し、ZOAを確保して頸部への負担を軽減していきましょう!
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之