腹筋の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズ
姿勢を良くしたい、スポーツパフォーマンスを向上したい、お腹を引き締めたいなど、腹筋のエクササイズをしたいと考えている人は多くいらっしゃいます。
今回は、腹筋の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズを、腹筋の機能解剖とあわせてご紹介いたします。
腹筋の機能解剖
腹筋は4つの筋肉によって構成されています。
表層から順番に、腹直筋→外腹斜筋→内腹斜筋→腹横筋の4つです。
腹直筋
起始部:恥骨結節
停止部:第5~7肋軟骨、剣状突起
作用 :脊柱の屈曲、側屈
外腹斜筋
起始部:腸骨陵、鼠径靱帯、白線
停止部:第5~12肋骨外側面
作用 :脊柱の屈曲、回旋、反対側への回旋
内腹斜筋
起始部:腸骨稜、鼠径靱帯、胸腰筋膜
停止部:第10~12肋骨下縁
作用 :脊柱の屈曲、側屈、同側への回旋
腹横筋
起始部:恥骨、剣状突起、白線
停止部:第6~12肋軟骨の内側面、胸腰筋膜、鼠径靱帯
作用 :腹腔内圧を高める
このように、腹筋群は肋骨や骨盤に幅広く付着し、脊柱の屈曲や回旋動作、腹腔内圧の向上に関与しています。
腹腔内圧とは
さて、ここで腹筋が関与している腹腔内圧について確認しておきましょう。
腹腔内圧とは、排尿や排便、脊柱の安定性などに関わっている、身体にとって大切な機能です。
腹腔内圧は腹腔周囲に存在する筋肉によって調整されており、前面と側面は腹筋群、後面は背筋群、上面は横隔膜、下面は骨盤底筋群が構成しています。
腹腔内圧が脊柱の安定性に関わっていることから、腰痛改善のために腹腔内圧の向上が注目されることがありますが、動作によって求められる腹腔内圧の数値は異なるということに注意が必要です。
試行課題と腹腔内圧の変化についてのリサーチでは、垂直飛びで約130mmHg、デッドリフトで約160mmHgの腹腔内圧が生じたと報告されています。
一方で、日常生活動作における腹腔内圧は、わずか1.5~7mmHg程度だといわれており、トレーニングやスポーツ動作と、日常生活で求められる腹腔内圧の数値には大きな差があることが分かります。
瞬発的な動きや筋力トレーニングにおける腰痛を改善したいなら、腹腔内圧を向上させるエクササイズが必要ですが、「立つ・座る・歩く」といった日常生活レベルでの腰痛を改善したいなら、無理に腹腔内圧を高めるようなエクササイズは必要ないということですね。
なお、時速21kmのランニングでは40mmHg前後の腹腔内圧が生じるといわれています。
抗伸展、抗回旋での腹筋の使い方が重要
ここまで、「動作によって腹腔内圧の必要性は異なりますよ~」というお話をしてきましたが、多くの場面で腹筋に求められるのが、伸展や回旋に対してブレーキをかける役割です。
単純に腹筋の起始部と停止部が近づくと脊柱の屈曲に作用しますが、「歩く・走る・物を投げる・重い物を持つ・ジャンプする」などなど、ほとんどの動作において、腹筋は伸展や回旋に対してブレーキをかけていますよね。
このように伸展や回旋の動きに抗っているので、抗伸展や抗回旋という言い方をします。
カールアップのように脊柱の屈曲動作で腹筋を使うことに慣れてきたら、生活やスポーツ動作に活用できるように、抗伸展や抗回旋のエクササイズを取り入れていくことも大切です。
そこでおすすめのピラティスリフォーマーエクササイズが、トランクムーブメント。
ピラティスリフォーマーを活用したトランクムーブメント
ピラティスリフォーマーを活用したトランクムーブメントは、フットストラップに足をかけ、体幹を後方へ倒した状態で回旋を加えることができるので、抗伸展や抗回旋のトレーニングに非常に効果的です。
最初は前後の動きだけを行い、慣れてきたら回旋動作を加えていくと無理なく行えます。
また、余裕が出てきたら手の位置を「胸の前→頭の後ろ→バンザイ」といった具合に変化させると、強度を高めることもできます。
エクササイズ中は脊柱のニュートラルポジションを保ち、脊柱が屈曲しないように注意しましょう。
今回は、腹筋の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズとしてトランクムーブメントをご紹介いたしました。
腹筋は、臥位から起き上がる時などは脊柱を屈曲させる使い方をしますが、座位や立位では伸展や回旋に対してブレーキをかけるような役割が求められることがほとんどです。
腹筋のエクササイズに慣れてきたら、トランクムーブメントで抗伸展や抗回旋の能力も身につけていきましょう!
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之