椎前筋群の機能解剖とピラティスリフォーマーエクササイズ
こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。
皆さんは、椎前筋群をご存じでしょうか?
椎前筋群という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、「前頭直筋、外側頭直筋、頭長筋、頚長筋」という4つの筋の総称で、頸椎の安定性を保つうえで非常に重要な役割を担っています。
腰椎でいうところの腹筋群だと思って頂けると分かりやすいかと思います。
今回は、椎前筋群の機能解剖と、活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズについて確認していきましょう。
椎前筋群の機能解剖

付着部と作用
・前頭直筋
起始部:第1頸椎の横突起
停止部:後頭骨の底部
作用 :第1頸椎の屈曲、側屈、回旋
・外側頭直筋
起始部:第1頸椎の横突起
停止部:後頭骨の頸静脈突起
作用 :第1頸椎の屈曲、側屈、回旋
・頭長筋
起始部:第3-第頸椎6の横突起
停止部:後頭骨の底部
作用 :頸椎の屈曲、側屈、回旋
・頚長筋
上斜部 起始部:第3-第5頸椎の横突起
停止部:第1頸椎の前結節
垂直部 起始部:第2-4頸椎の椎体前面
停止部:第5頸椎-第3胸椎の椎体前面
下斜部 起始部:第5-6頸椎の横突起
停止部:第1-3胸椎の椎体前面
作用 :頸椎と胸椎の屈曲、側屈、回旋
神経支配
頸神経叢(C1~C6)
椎前筋群の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズ
頸椎の前面を走行する椎前筋は、フォワードヘッドやアゴが挙がった姿勢を改善するうえで、重要な筋の一つです。
体幹部の安定化に不可欠な、「横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群」の4つの筋群により構成されるインナーユニットに加え、第5のインナーユニットとも呼ばれることもあります。
椎前筋群の活性化におすすめのエクササイズが、ピラティスリフォーマーを活用したシザース。

シザースでは、頸椎の屈曲運動によって椎前筋群を動員することができますが、ピラティスリフォーマーで行うことで、上肢のリーチ動作い伴い腹筋群も同時に活性化することができます。
さらに、下肢を伸展した状態での股関節の屈曲-伸展動作の反復運動になるので、腰椎骨盤帯の安定性向上にも非常に効果的です。
ただ、シザースやカールアップなどを行うと、首の後ろが疲れてしまうというクライアントがいらっしゃいますよね。
原因として、後頭下筋や板状筋などの頸椎伸筋群が過緊張になっていることや、椎前筋が不活性である可能性が考えられます。
重力に対して頭頚部を持ち上げるシザースやカールアップのような頭頚部の屈曲運動では、上位頸椎から下位頸椎へと分節的に動かすことが大切であり、そのためには後頭骨から頸椎の前面に付着する椎前筋が重要です。
ところが、後頭骨から第1頸椎や第2頸椎の後面に付着している、後頭下筋の過緊張や伸張性低下があると、上位頸椎の屈曲を阻害してしまいます。
パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスの使用時間が増えた現代において、後頭下筋はオーバーユースになりやすい筋ですので、カールアップやロールアップロールダウンなどを行う前に、徒手やRe-arch Spine などでリリースしておくと、エクササイズを行いやすくなります。
また、Re-arch Spine 2のポジションは椎前筋を促通をしやすいので、併せて実施しておくこともオススメです。
最後に、エクササイズのポイントとしては、頸椎が過剰に屈曲してしまうと椎前筋群の活動が低下してしまいますので、胸椎と頸椎を均一に屈曲できるようにすることが大切です。
今回は、頸椎の安定性に関わり、フォワードヘッド姿勢の改善にも重要な椎前筋群の機能解剖と、活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズとして、シザースをご紹介しました。
前述のとおり、拮抗作用を有する後頭下筋を事前に抑制することで、椎前筋群を使いやすくなりますので、特にシザースやカールアップなどのエクササイズを行うと首の後ろが疲れてしまうというクライアントには、プログラムの構成を配慮してご案内していきましょう!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之