前庭感覚の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズ
こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。
今回は、前庭感覚の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズをご紹介いたします。
前庭感覚のセンサーである前庭器官についても、併せて確認していきましょう。
前庭器官とは

空間内で自身がどこにいて、どのように動いているのかは、「体性感覚・前庭覚・視覚」の3つの感覚情報を基にして認知することが出来ています。
そのため、これらの感覚情報を検出している受容器は、姿勢や運動制御において非常に重要であり、前庭感覚のセンサーの役割を担っているのが前庭器官。
内耳に存在し、半規管と耳石器によって構成されている前庭器官は、頭部の傾きや加速を感知し、姿勢や眼球運動の調節に重要な役割を担っています。
前庭器官が適切に機能することで、自身が空間内でどのように、どの方向に動いているのかを把握できるので、姿勢や筋緊張に大きく影響しています。
そのため、「肩に力が入りやすい」、「力を抜くのが苦手」という方は、前庭感覚をはじめとした、感覚統合が上手く行えていない可能性も考えられますね。
半規管
半規管は、前半規管、後半規管、外側半規管から成り、それぞれが直交する形で位置しているので、頭部の全方向の回転運動を感知できるようになっています。
三つの半規管だから三半規管と呼ぶんですね。

半規管の構造的な2つの特徴が、内部がリンパ液で満たされていることと、感覚毛を持つ有毛細胞が一定の向きで配列していることです。
そのため、頭部が回転してリンパ液の流れが生じると有毛細胞を刺激し、その情報が前庭神経を介して脳へと届き、頭部がどのように動いたのかが分かるようになっています。
うなずく様に頭を前に傾ければ両側の前半規管が、上を向くように頭を後ろに倒せば両側の後半規管が、右を向けば右側の外側半規管が活性化されます。
エクササイズで考えると、カールアップで上体を起こしていく時は前半規管が、戻る時は後半規管が刺激されます。

レッグパンプスツイストをしながら左を向けば、左側の外側半規管が活性化され、同時に右側の外側半規管は抑制に。
ダイアゴナルツイストで左斜め下を向く時は右側の前半規管、右斜め上を向けば右側の後半規管が活性化されます。

耳石器
続いては耳石器について。
耳石器には卵形嚢と球形嚢があり、頭部が重力方向に対してどの程度の速さで、どの方向に動いたのかを感知しています。
耳石器にも有毛細胞があり、ゼラチン様の耳石膜で覆われています。
耳石膜は多量の炭酸カルシウムの結晶である耳石を含んでおり、重力や頭部の運動によって加速度が加わって耳石がズレると、有毛細胞が刺激されて中枢に情報を伝える仕組みとなっています。

卵形嚢は水平に位置している為、立位では前後や左右方向への動きに反応。
一方、球形嚢は垂直に位置している為、上下方向への動きに反応します。
日常生活で考えると、電車や車などの加速に伴う水平方向の動きは卵形嚢が、エレベーターのような垂直方向の加速は球形嚢が感知しています。
エクササイズでは、ローリングライクアボールは耳石器の活性化にも効果的です。

ピラティスリフォーマーを活用した前庭感覚の活性化エクササイズ
それでは、最後にピラティスリフォーマーを活用した前庭感覚を活性化するエクササイズについても確認していきましょう。
今回ご紹介するピラティスリフォーマーエクササイズは、フォースタンスジャンプです。
フォースタンスジャンプでは、加速が加わるので前庭感覚が活性化されます。

四つ這い位で行うことで、肩甲胸郭関節や股関節の安定性向上にもつながるだけでなく、視覚も活性化されます。
ただし、バランス保持能力が低下している方には転倒のリスクが高い種目ですので、そのような方には仰向けでのジャンプエクササイズがおすすめです。
安全性を確認したうえで、エクササイズを処方していきましょう。
前庭器官が刺激されて生じた感覚が前庭感覚であり、視覚情報や、関節・筋・皮膚などからの体性感覚情報と統合され、自分が空間内でどこにいて、どのような姿勢なのか、どのように動いているのかなどが認知されます。
そのため、前述のように身体の力が入り過ぎてしまう方は、これらの感覚統合が適切に行えていない可能性も考えられます。
レッスンでも、座位行動時間が長い人には、臥位や座位での種目だけで終わるのではなく、立位での移動を伴った運動も取り入れていくことも、心身のコンディションを整える為には大切ですね。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之