ランナーにおすすめのピラティスチェアエクササイズ
こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。
手軽に始めることができる運動習慣として人気のランニング。
2020年に実施された笹川スポーツ財団による調査では、20歳以上のジョギング・ランニング人口は、1,055万人と報告されており、多くの人が親しんでいるスポーツであることが分かります。
なお、週1回以上では579万人、月2回以上だと724万人のジョギング・ランニング人口がいるそうです。
このように、多くの人に浸透しているランニングですが、身体の特定の部位に、長時間に渡って繰り返し負荷が加わるため、障害も多く発生しています。
今回は、ランナーに多いスポーツ障害の一つで、ランナー膝とも呼ばれる腸脛靭帯炎についての解説と、予防におすすめのピラティスチェアエクササイズをご紹介いたします。
腸脛靭帯炎とは
腸脛靭帯炎は、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆との摩擦負荷の繰り返しによって生じる疾患です。
腸骨の外側面から脛骨外側部のGerdy結節に付着している、長大で強力な腸脛靭帯。
膝関節の屈曲-伸展に伴い、大腿骨外側上顆との位置関係が変わるという特徴があります。
腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の位置関係
・膝関節伸展位から屈曲約30度:外側上顆の前方
・膝関節屈曲約30度~45度:外側上顆の直上
・それ以上の屈曲:外側上顆の後方
このような腸脛靭帯の特徴を踏まえ、ランニング動作時の一般的な膝関節の動きを確認してみましょう。
ランニングにおいて、膝関節は屈曲15度前後で初期接地した後、衝撃吸収のために40度前後まで屈曲します。
その後、前方への推進力を生成するために膝関節は伸展していき、屈曲15度前後で離地します。
つまり、大腿骨外側上顆に対する腸脛靭帯の位置は、
「初期接地は前方 → 立脚中期は直上 → 立脚後期は前方」
というように変化しており、大きな摩擦力が反復して加わって腸脛靭帯に負担が掛かっているんですね。
腸脛靭帯の機能解剖
ランニング時に大腿骨外側上顆部で腸脛靭帯にストレスが加わることは避けられません。
そのうえで腸脛靭帯への負担を減らすことを考えていくと、「腸脛靭帯の伸張性を改善する」、「膝関節のアライメントを整える」ということが大切です。
腸脛靭帯はとても強力な靭帯なので、それ自体を伸ばすというより、腸脛靭帯に付着する筋の緊張や伸張性を改善すること、腸脛靭帯と外側上顆の滑走性を良くするというイメージですね。
それでは、腸脛靭帯の付着部について確認していきましょう。
【腸脛靭帯近位部】
・浅層
大殿筋表層線維の腱膜
・深層
中殿筋表層筋束や筋膜、大腿筋膜張筋の表層と深層
【腸脛靭帯遠位部】
・浅層
主に大腿筋膜張筋と殿筋表層線部由来の線維が、膝蓋骨の表層と側方に付着
・中間層
大腿筋膜張筋と大臀筋中層部由来の線維が、Gerdy結節前方に付着
・深層
臀筋群の深層部由来の線維と外側大腿筋間中隔線維が、Gerdy結節後方に付着
腸脛靭帯の近位部は、「大腿筋膜張筋、大殿筋、中殿筋」などの筋が付着しており、大腿部の外側大腿筋間中隔では「外側広筋や大腿二頭筋」といった筋が関与しています。
そのため、これらの筋の緊張や伸張性を改善することで、腸脛靭帯の伸張性を高めることができると考えられます。
続いては、膝関節のアライメントという観点から見ていきましょう。
腸脛靭帯は膝関節の外側を走行しているので、膝が内反するとストレスが増加しますよね。
そのため、つま先に対して膝が外を向くような、「Knee out Toe in」のアライメントにならないようにすることがポイントです。
ランナーにおすすめのピラティスチェアエクササイズ
それでは、膝関節の適切なアライメントを保つためにおすすめのチェアエクササイズとして、ダイアゴナルツイストをご紹介いたします。
ダイアゴナルツイストは、シーテッドレッグパンプスをしながら、体幹や頭頚部の回旋動作も行うエクササイズ。
足関節と膝関節のアライメントを整えるのに効果的です。
シーテッドレッグパンプスでは、下肢のアライメントだけを注意すれば良いのですが、ダイアゴナルツイストの場合、体幹や上肢、頭頚部の動きも加わるので、下肢のアライメントが崩れやすくなります。
ランニング中にずっと下肢のアライメントを気にすることはないので、このようなエクササイズを通じて、無意識下で適切に身体をコントロールする能力を獲得することは大切だと考えられます。
シーテッドレッグパンプスを適切なフォームで行えるクライアントに、レベルアップ種目としてぜひ実施してみてください!
今回は、ランナーにおすすめのピラティスチェアエクササイズとして、ダイアゴナルツイストをご紹介いたしました。
下肢の適切なアライメントを保つことで、腸脛靭帯へのストレスを軽減し、長くランニングを楽しめるコンディションを保ちましょう!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之