前屈動作の改善におすすめのピラティスリフォーマーエクササイズ
こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。
レッスン前後のモニタリングとして、立位での前屈動作を確認することがあるかと思います。
前屈動作の制限因子の一つとなるのが、脊柱起立筋の過緊張や伸張性の低下です。
今回は、立位での前屈動作の改善におすすめのピラティスリフォーマーエクササイズを、脊柱起立筋の機能解剖と併せて解説していきます。
脊柱起立筋の機能解剖
脊柱起立筋は、「腸肋筋、最長筋、棘筋」の総称です。
脊柱の伸展に作用する筋は、表層に位置する脊柱起立筋と、多裂筋などの深層に位置する筋に大別されます。
※棘筋を深層筋として分類することもあります。
深層筋群は1~5個の椎骨を飛び越えるように付着している小さな筋が中心ですが、表層の脊柱起立筋は5個以上の椎骨を飛び越える大きな筋で、より大きな力発揮が可能です。
付着部
腸肋筋
・腰部:仙骨、腸骨稜、胸腰筋膜→第6~12肋骨
・胸部:第7~12肋骨→第1~6肋骨
・頸部:第3~7肋骨→第4~6頸椎の横突起
最長筋
・胸部:仙骨、腰椎棘突起、下位胸椎の棘突起→第2~12肋骨、胸椎横突起、腰椎肋骨突起
・頸部:第1~6胸椎の横突起→第2~5頸椎の横突起
・頭部:第4頸椎~第3胸椎の横突起→側頭骨の乳様突起
棘筋
・胸部:第10胸椎~第2腰椎の横突起→第2~9胸椎の棘突起
・頸部:第6頸椎~第2胸椎の横突起→第2~4頸椎の棘突起
・頭部:第1~7頸椎の横突起→大後頭孔
※外側から、腸肋筋→最長筋→棘筋の順番に位置しています。
神経支配
脊髄神経後枝
作用
・脊柱の伸展、側屈、同側への回旋
・骨盤の前傾
通常、立位で前屈動作を行うと、屈曲初期は脊柱起立筋の筋活動が高まりますが、屈曲角度が深くなるにつれて徐々に脊柱起立筋の筋活動が消失していくことが分かっており、このような現象を屈曲弛緩現象と呼びます。
なぜ屈曲弛緩現象が生じるのかというと、脊柱を支持する組織が、前屈角度に伴い脊柱起立筋から脊柱後方の靭帯や関節包へと移行することや、脊柱起立筋の伸張に対する抑制反射が生じるためではないかと考えられています。
ところが、慢性的な腰痛がある患者の場合、この屈曲弛緩現象が生じず、常に脊柱起立筋の筋活動が高い状態になってしまっていることが指摘されているんです。
腹臥位や側臥位で脊柱起立筋を触ってみて硬い場合などは、脊柱起立筋のリリースを行ったり、痛みの無い範囲で脊柱の屈曲-伸展運動を行ったりして、筋組織内の循環を改善していくことが良さそうですね。
腰椎レベルであれば、最長筋は腰椎の棘突起から約3cm(2横指)外側、腸肋筋は最長筋のすぐ外側を走行しており、腰椎の棘突起からは約6cm(4横指)外側に位置していますので、触診の目安にしてみてください。
なお、前屈動作時に脊柱起立筋は弛緩していきますが、深層筋である多裂筋は常に筋活動が保たれていることからも、多裂筋は椎体間の安定性にも深く関わっていることが示唆されています。
ピラティスリフォーマーによる脊柱起立筋の伸張性改善
前述のように、脊柱起立筋の循環が悪くなったり、伸張性が低下してしまうと、立位での前屈動作の制限因子となります。
そこでオススメのピラティスリフォーマーエクササイズが、ロールオーバーです。
ロールオーバーのエクササイズによって、脊柱の屈曲と伸展動作を行うことで、脊柱起立筋の収縮と弛緩を繰り返し、筋肉内の循環を良くする効果が期待できます。
マットで行うことも可能ですが、下肢を持ち上げて脊柱を屈曲していく際に、過剰に力が入ってしまいやすい種目でもあります。
そこで、ピラティスリフォーマーを活用することで、脊柱の屈曲動作をスプリングがサポートしてくれるので、力まずに行うことが可能です。
足を天井方向に持ち上げていくやり方もありますが、脊柱起立筋の循環や伸張性の改善を目的とする場合は、天井方向ではなく、ループに牽引される力に従い、より頭側へと動かす方がおすすめですので、よろしければご参考にしてください!
スプリングを強くすると脊柱を屈曲させるのが楽になりますが、戻る動作への抵抗が強くなるので、注意して設定しましょう。
今回は、前屈動作の改善におすすめのピラティスリフォーマーエクササイズとして、ロールオーバーを脊柱起立筋の機能解剖とあわせてご紹介いたしました。
前屈動作はレッスン前後での変化を、トレーナー側だけでなくクライントご自身にも体感してもらいやすいので、大変おすすめのモニタリングです。
その制限となる脊柱起立筋の過緊張や伸張性の低下は、慢性的な腰痛の一因にもなりますので、コンディショニングエクササイズを通じて、良い筋肉の状態に整えていきましょう!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之