エクササイズ

足関節捻挫とピラティスリフォーマーエクササイズのポイント

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こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。

足関節の内反捻挫は発生頻度の多い運動器疾患で、クライントの既往歴としてもよく耳にします。

今回は、内反捻挫を起こしやすい理由や、ピラティスリフォーマーエクササイズを実施する際のポイントについて、足関節の機能解剖をもとに解説いたします!

足関節の内反捻挫とは

まずは、今回のテーマである内反捻挫について確認していきましょう。

捻挫とは、「関節に力が加わっておこる怪我のうち、骨折と脱臼を除いたもの」で、足関節の場合だと、内がえしの動きによって外側側副靱帯が損傷することがほとんどです。

重症度は以下の3つに分類されます。

Ⅰ度:軽症

・靱帯の軽微な損傷で、痛みはあるが歩行は可能なレベル
・関節の不安定性はなく、固定処置の必要なし

Ⅱ度:中等症

・広範囲に腫れ、歩行はかなり痛いか不可能なレベル
・軽度の関節不安定性が見られ、テーピングやサポーターで固定することが多い

Ⅲ度:重症

・Ⅱ度よりもさらに痛みは強く、歩行は不可能なレベル
・関節不安定性も強く、シーネもしくはギプス固定が必要

Ⅰ度の損傷レベルであれば、治癒後の足関節機能に大きく影響を及ぼすことは無いかと思いますが、Ⅱ度やⅢ度であれば、回復後も足関節の不安定性が残ってしまうことが考えられます。

そのため、クライントに足関節捻挫の既往歴がある場合、どの程度のレベルなのかまでを聞いておくことが必要ですね。

足関節の内反捻挫が多い理由

内反捻挫が多い理由は大きく2つで、「内反方向への可動性が大きいこと」「外側側副靱帯の方が強度が弱いこと」です。

これらの理由について、足関節の機能解剖を基にひも解いていきましょう!

一般的に「足関節」とは、脛骨・腓骨・距骨によって構成されている距腿関節のことを指すことが多く、本記事でも「足関節=距腿関節」のことを表していますので、ご承知おきくださいませ。

さて、足関節は、背屈と底屈の運動範囲が大きい関節です。

ただし、内果(内くるぶし)が外果(外くるぶし)よりも前方&上方にあるため、純粋な矢状面上での運動にはならず、以下のような前額面上と水平面上の動きを伴います。

・背屈+外がえし+外転
・底屈+内がえし+内転

足関節の関節可動域の目安は、以下の通りです。
・背屈 20° / 底屈 45°
・外がえし 20° / 内がえし 30°
・外転 10° / 内転 20°

それぞれの運動方向での可動域の違いにお気づきでしょうか?

そうです、「底屈&内がえし&内転」の組み合わせは、可動域が大きいんです。

これは、前述の内果と外果の位置関係が大きく影響しています。

この可動域の違いが、内反捻挫が多い理由の一つです。

そして、併せて覚えておきたいのが、距骨の動き。

足関節を背屈させる時、距骨は後方に移動し、ankle morticeと呼ばれる内果と外果の間に入りこむような形になります。

距骨は前方が後方よりも約5mm幅広い形状をしているので、背屈時には幅広い前方部分がankle morticeにはまり込み、距腿関節はがっちり安定した状態に。

一方、底屈時には距骨が前方に移動し、ankle morticeと距骨には隙間ができるため、骨性の安定性は失われ、足関節は不安定なポジションになります。

つまり、足関節底屈位というのは、骨性の安定も低下している状態なので、より怪我をしやすい肢位だということですね。

内反捻挫が多い2つ目の理由は、内側と外側の側副靭帯の強度の違いです。

身体重心は、足関節軸の内側を通過するため、外がえし方向に回転する力の方が多く発生します。

つまり、内側への負荷が掛かりやすいので、成長の過程で内側側副靱帯の方が強度が高くなるという訳ですね。

このように、「内反方向への可動性が大きいこと」と「外側側副靱帯の方が強度が弱い」ことで、足関節では内反捻挫が多く発生します。

内反捻挫後におすすめのピラティスリフォーマーエクササイズ

前述の通り、足関節が背屈する時に距骨は後方へ動き、底屈する時には前方に動きます。

距骨には筋の付着が無く、靱帯による制動が大きく影響する骨なので、Ⅱ度以上の内反捻挫の既往によって靱帯の強度が弱くなっている場合、距骨の動きも不安定になってしまうことが考えられますよね。

そうすると、背屈時に内果と外果の間のankle moticesに上手く入り込めず、足関節前方でのつまり感や痛みが生じることがあります。

靱帯による制動力が弱くなっているならば、筋によって補うことが大切。

足関節の安定性向上に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズは複数ありますが、中でもオススメなのが、フットワーク。

フットワークは、後脛骨筋や長腓骨筋など、足関節底屈位での安定性に重要な筋の活性化に効果的です。

ポイントとしては、内反捻挫の既往歴があるクライアントに対しては、内反を制動する長腓骨筋を使うことです。

長腓骨筋は「底屈+内反」に作用するので、フットワークを行う時に、母趾球でフットバーを押すことで、長腓骨筋が促通されます。

その際、写真のようにRe-arch footを母趾球の部分に置くと、自然とフォームを誘導できるのでオススメです!

今回は、足関節の内反捻挫の既往歴があるクライアントに対する、ピラティスリフォーマーを活用したフットワークのポイントについて、解説いたしました。

足関節の安定性は、背屈制限や片脚立位での不安定性など、コンディショニングエクササイズにも様々な影響を及ぼしますので、問診で確認するようにしてみてください!

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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

理学療法士
中北貴之

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