後頭下筋群のリリースとセットで行うと効果的なピラティスチェアエクササイズ
こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。
今回は、後頭下筋群のリリースとセットで行うと効果的なピラティスチェアエクササイズをご紹介いたします。
後頭下筋群とは
後頭下筋群は、その名の通り後頭骨の下に付着する筋肉の総称で、「大後頭直筋」「小後頭直筋」「上頭斜筋」「下頭斜筋」の4つの筋肉で構成されています。
後頭下筋群は、頭頸部の安定性に関わっている他、頭頸部の伸展と回旋にも作用しています。
それぞれの筋の起始部と停止部、作用は以下の通りです。
・大後頭直筋
付着部:第2頸椎の棘突起~後頭骨下項線の中央部
作用 :同側への側屈、回旋
・小後頭直筋
付着部:第1頸椎の後結節~後頭骨下項線の内側1/3
作用 :同側回旋
・上頭斜筋
付着部:第1頸椎の横突起~後頭骨の上項線、下項線の間
作用 :同側への側屈、対側への回旋
・下頭斜筋
付着部:第2頸椎の棘突起~第1頸椎の横突起
作用 :同側回旋
このように、後頭下筋群は後頭骨、第1頸椎、第2頸椎に付着しているため、後頭下筋群の伸張性が低下すると、うなづき運動が阻害されてしまい、椎前筋の活動を妨げることになります。
後頭下筋群の特徴といえば、筋紡錘が多いということです。
筋紡錘は筋の長さの変化を感知するセンサーの役割を担っており、関節がどの角度でどう動いているのかなどの情報を脳に送ってくれています。
後頭下筋群にある筋紡錘がセンサーとして機能していることで、我々は頭の位置を適切に保てているのです。
この筋紡錘は、細かいコントロールが必要な筋肉ほど高密度に存在しています。
例えば、1gあたりの筋紡錘の数を比較すると、肘関節の屈曲に作用する上腕二頭筋に対して、手の細かな動きを担う虫様筋は、10倍もの筋紡錘が存在していると言われています。
そしてなんと、後頭下筋群の一部である下頭斜筋は、虫様筋の10倍以上の筋紡錘が高密度に存在していると言われているため、いかに後頭下筋群のセンサーとしての役割が大きいかがわかりますね!
現代人に多い姿勢と後頭下筋群
スマートフォンやパソコンが普及した現代では、生活が便利になる一方で、頭を前に突き出して画面を見る機会が増え、スマホ首などと言われるフォワードヘッド姿勢(FHP:Forward Head Posture)になっている人が増えていますよね。
頭の位置が崩れると、頭を支える後頭下筋群の働きはどうなるのでしょうか。
フォワードヘッド姿勢では、頭部の重心位置が前方に偏位してしまうため、通常よりも頭頸部を屈曲させる力が大きくなり、顔が下を向きやすくなります。
そうならないように、後頭下筋群が頭頸部を伸展させ、真っ直ぐ前を向けるようにしてくれているので、フォワードヘッド姿勢になると後頭下筋群は頑張り過ぎの過労状態に。
過労状態が続くことで、”頭の位置を適切に保つ”という後頭下筋群の重要なセンサー機能が低下し、ますます頭部の位置が崩れる原因になってしまうことが考えられます。
後頭下筋群の拮抗筋である椎前筋の活性化
ここまでお話してきたように、頭頸部の安定性に関わり、適切な姿勢を保つために重要な後頭下筋群。
後頭下筋群の過労状態を脱却するためには、後頭下筋群をリリースして緊張を緩和する必要がありますので、Re-arch Spineは誰でも手軽に実施でき、大変おすすめです。
ただ、後頭下筋群を弛めるだけでは、またすぐに戻ってしまいますので、リリース後に拮抗筋である椎前筋を活性化することが大切です。
椎前筋は、頸椎の前面を走行する筋肉の総称で、頭長筋、頸長筋、外側頭直筋、前頭直筋によって構成されています。
椎前筋はアゴを適度に引いた状態で頭部を挙上すると活性化されます。
そこでオススメの椎前筋活性化エクササイズが、カールアップです。
ピラティスチェアを活用したカールアップ
ピラティスチェアを活用したカールアップでは、椎前筋を腹筋群と共に活性化することができます。
まずは、頭部の挙上に伴う椎前筋の促通を行い、その後カールアップ動作へとつなげていくのがオススメです。
ピラティスチェアを使用することで、フットペダルを押さえつけておくためにハムストリングスも同時に促通され、骨盤後傾-肋骨内旋を誘導しやすくなり、より効果的に腹筋群を刺激できます。
カールアップを行う際に、後頭下筋群に力が入ったり、チンアウトしてしまう場合は、先にRe-arch Spineを活用して、後頭下筋群を抑制してから行いましょう。
今回は、後頭下筋群のリリースとセットで行うと効果的なエクササイズとして、ピラティスチェアを活用したカールアップをご紹介しました。
後頭下筋群を弛めた後は、椎前筋を促通して、適切に頭頸部を支持できるようにしていきましょう!
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之