仙腸関節の安定性向上に効果的なピラティスチェアエクササイズ
こんにちは。
ピラティスマシンFactoryです。
今回は、体幹部と下肢をつなぐ大切な関節である、仙腸関節の安定性向上のためのピラティスチェアエクササイズをご紹介いたします。
機能解剖とあわせてご覧ください♪
仙腸関節の構成
仙腸関節は、仙骨と2つの腸骨により構成されています。
以前は可動関節なのか不動関節なのかで議論もされていたようですが、現在は可動関節であるという見解が一般的かと思います。
実際にどの程度動くのかというと、並進運動で0.5~2mm、回転運動で0.2~4度程度の可動性を有しています。
不動関節だと主張する人もいたぐらいですので、それほど大きくは動かないですね。
なお、仙腸関節は年齢によっても可動性が変化します。
①胎児~10歳頃までは関節面は平坦で可動性が大きい
②10代になると関節面に凹凸が出現する
③40~50歳代で腸骨の関節面の隆起が増加し、関節軟骨の線維化と侵食が始まる
④70歳代では骨棘が大きくなり、関節内の線維性癒着が進行する
⑤80歳までには完全に骨化することもある
子どもの頃は関節面が平坦で大きく可動しますが、加齢とともに関節面の凹凸が増えたり、骨化したりするため、高齢になるほど仙腸関節の可動性は低下します。
仙骨の動き
仙骨にはうなづき(ニューテーション)と、起き上がり(カウンターニューテーション)という動きがあります。
寛骨に対して仙骨が前傾する動きが「うなづき(ニューテーション)」、寛骨に対して仙骨が後傾する動きが「起き上がり(カウンターニューテーション)」といいます。
呼び方は「うなづき/起き上がり」でも「ニューテーション/カウンターニューテーション」でもどちらでも良いのですが、「うなづき、/起き上がり」の方がイメージしやすいかと思いますので、今回はそのように表記していきますね。
仙腸関節の安定化機構
仙腸関節を安定させているのが、「フォームクロージャー」と「フォースクロージャー」という2つの機構です。
関節構造や関節包あるいは靱帯の伸張性による安定化機構をフォームクロージャーといい、「閉鎖位」とも呼ばれます。
一方、フォースクロージャーは筋や筋膜による安定化機構のことで、「閉鎖力」といいます。
構造的な安定化なのか、軟部組織による安定化なのかの違いという事ですね。
フォースクロージャーの中でも大切なシステムの一つが、POS(Posterior Oblique System)です。
POSは、「大殿筋→胸腰筋膜→対側の広背筋」を結んだラインで、仙腸関節だけではなく体幹背側部の安定性にも関わっています。
体幹部の安定性に関与する組織。
椎骨の棘突起・横突起といった骨や、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋、大臀筋、広背筋、僧帽筋下部、脊柱起立筋、多裂筋など多くの筋が付着します。
また、固有受容器も多く存在しており、単に筋が付着して力を伝達する媒体としてだけでなく、センサーとしての役割もあると言われています。
このPOSラインの強化にオススメのピラティスチェアエクササイズが、シングルレッグヒップリフトです。
ピラティスチェアを活用したシングルレッグヒップリフト
ピラティスチェアを活用したシングルレッグヒップリフトは、ハムストリングスや大殿筋、胸腰筋膜を介して対側の広背筋の活性化に効果的なエクササイズです。
POSラインの強化を目的とする場合は、支持側の下肢と同側の上肢を浮かせ、対側の上肢で床を押すようにしてみてください。
そうすることで、「支持側の大殿筋→胸腰筋膜→対側の広背筋」のラインが協調的に働きやすくなります。
片脚でのエクササイズのため、強度や難易度は少し高くなりますので、肋骨が外旋しないように注意しましょう。
今回は、仙腸関節の安定性向上のためのピラティスチェアエクササイズとして、シングルレッグヒップリフトをご紹介いたしました。
体幹と下肢をつなぐ重要な関節である仙腸関節を安定させ、スムーズな全身運動や腰痛の予防につなげていきましょう!
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之