前鋸筋の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズ
今回は、肩関節機能に重要な筋肉である、前鋸筋の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズをご紹介いたします。
肩関節の機能解剖とあわせて確認していきましょう!
肩甲上腕リズムとは
肩関節は「肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節・肩甲胸郭関節・第2肩関節」といった、5つの関節により構成され、複合関節として機能しています。
なかでも、肩甲骨と上腕骨が構成している肩甲上腕関節と、肩甲骨と胸郭によって構成されている肩甲胸郭関節は、肩関節複合体のなかでも中心的な役割を担っています。
そして、どちらの運動にも関わっているのが肩甲骨。
これだけでも、肩甲骨が肩関節の適切な機能に不可欠であることが分かりますね。
肩甲骨が肩関節の機能において重要視される理由の一つが、肩甲上腕リズムです。
肩甲上腕リズムとは、肩甲骨と上腕骨の協調的な動きのことをいいます。
個体差がありますが、「上腕骨が2度動くと、肩甲骨も1度動く」というのが一般的な見解です。
つまり、肩関節が180度挙上する際には、上腕骨が120度動き、肩甲骨が60度動いているということですね。
仮に肩甲骨が動かないと、代償的に上腕骨が過剰に動いてしまうため、腱板損傷をはじめとした肩関節障害につながります。
肩甲骨の動きと筋肉
それでは、肩甲骨はどのように動き、どのような筋肉が関与しているのでしょうか?
肩甲骨には、「挙上-下制、上方回旋-下方回旋、内転-外転、後傾-前傾」といった動きがあり、上肢を挙上する際には、「上方回旋、内転、後傾」の動きが求められます。
※屈曲の場合、90度までは外転し、その後内転します。
どの方向への動きも重要ですが、特に上方回旋の動きが制限されると、肩甲上腕関節の上方部分でインピンジメント(組織の衝突)が生じやすくなるため、腱板損傷や肩峰下滑液包炎といった、肩関節障害につながります。
これらの障害予防のためにも肩甲骨の上方回旋は重要です。
この肩甲骨の上方回旋に関わる主となる筋肉が前鋸筋。
前鋸筋は、肋骨から肩甲骨まで付着する筋で、肋骨の付着部分がノコギリの刃のようにギザギザしているのが特徴的です。
ノコギリは漢字で「鋸」と書き、体の前面につく鋸のような筋なので「前鋸筋」と命名されたようです。
主に肩甲骨の動きの関与しており、中でもボクシングのパンチを打つ動作時に力を発揮することから「ボクサー筋」とも呼ばれ、ボクサーの方は前鋸筋が発達していることが多いです。
ボクシングで有名な井上尚弥選手なんかも、脇腹にギザギザした前鋸筋が目立っていますね!
前鋸筋は肩甲骨の上方回旋や外転に関わる筋肉で、胸郭に対して肩甲骨が円滑に動けるように働いています。
そのため、前鋸筋の活性化エクササイズは肩関節機能の向上につながります。
そこでオススメなのが、ピラティスリフォーマーを活用したツイストリーチonロングボックス。
ピラティスリフォーマーを活用したツイストリーチon ロングボックス
ピラティスリフォーマーを活用したツイストリーチonロングボックスは、上肢の前上方へのリーチ動作を行うので、肩甲骨の上方回旋+外転運動を伴います。
そのため、肩甲骨の上方回旋と外転作用を有する前鋸筋の活性化にはうってつけです!
エクササイズ自体はシンプルな動作でフォームも習得しやすいので、運動に不慣れな方でも行いやすい種目です。
ただ、シュラッグや頭部の前方偏位などの代償動作が見られる場合は、スプリングの強さを弱くするなどして、リグレッションしましょう。
ロングボックスに座っての動作に慣れてきたら、ハーフニーリングやトールニーリングなど、支持基底面を減らし、よりバランス保持能力が求められる環境にプログレッションしていただくのもオススメです♪
今回は、前鋸筋の活性化に効果的なピラティスリフォーマーエクササイズとして、ツイストリーチonロングボックスをご紹介いたしました。
前鋸筋は肩甲骨の動きに関与し、肩関節が適切に動く為に重要な筋肉ですので、ぜひエクササイズを通して活性化していきましょう!
ピラティスリフォーマーや前鋸筋についてオンラインで学べる
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
理学療法士
中北貴之