エクササイズ

下腿外旋位の改善に効果的なピラティスチェアエクササイズ

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変形性膝関節症患者数が約3000万人もいると言われているように、膝関節は腰と並び障害が生じやすい部分です。

膝関節に障害を抱える方を担当すると、下腿が外旋位になっていることが多くあります。

今回は、なぜ下腿外旋位が膝にとって良くないのか?

ということを機能解剖も交えながら解説し、最後にオススメのピラティスチェアエクササイズもご紹介いたします。

膝関節は不安定な構造

膝関節は、脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節により構成されています。

今回の主題となる脛骨大腿関節は、非常に不安定な骨構造をしています。

ほぼ平坦な脛骨の上に、人体で最も大きな骨である大腿骨が乗るような形で、脛骨大腿関節は構成されています。

同じ荷重支持関節である股関節の構造と比べてみても、骨による安定性の違いは一目瞭然です。

このような骨性の不安定さを補うようにして存在するのが、筋肉や半月板、そして靱帯です。

膝関節周囲の靱帯

関節を安定させるために、膝の周囲には多くの靱帯が存在しています。

代表的なところだと、内側側副靱帯、外側側副靱帯、前十字靭帯、後十字靭帯などですね。

どの靱帯も膝関節の安定化のために必要なのですが、なかでも前十字靭帯後十字靭帯は、特に重要です。

なぜかというと、膝関節内に存在し、関節軸に近い位置で安定性を高めているからです。

一方、内側側副靭帯や外側側副靭帯は、関節の外に位置しています。

筋肉のインナーマッスルとアウターマッスルの関係で考えると、分かりやすいかと思います。

筋肉も関節軸に近いインナーマッスルの方が、軸がズレないように作用していますよね。

十字靭帯がインナーマッスルで、側副靭帯がアウターマッスルのイメージです。

下腿の回旋と十字靱帯の関係

さて、ここまでのお話で、膝関節の安定性における前十字靭帯と後十字靭帯の重要性をご理解頂けたかと思いますので、下腿の回旋との関係について確認していきましょう。

まずは、下のイラストをご覧ください。

そもそも、下腿の内外旋中間位では、前十字靭帯と後十字靭帯は交差するように走行し、安定性を高めています。

そして、下腿内旋位だと交差は強まり、安定性はさらに強固になります。

ところが!
下腿外旋位になると十字靱帯の交差が緩んでしまい、紐が解けるような形になって安定性が低下してしまうんです。

靱帯による安定性が低下すると、代償的に周囲の筋が過剰に動員されるので、鵞足炎、腸脛靭帯炎、膝蓋靱帯炎といった筋のオーバーユースによる障害の他、歩行やランニングなどの荷重時の侵害刺激の増加に伴う膝の痛みにつながります。

そのため、下腿外旋位を改善することは、膝のコンディショニングにおいて超重要なんです!

また、O脚を改善するためにも、下腿外旋位を整えることは大切です。

足部と下腿の運動連鎖

下腿外旋位を改善するアプローチは複数ありますが、今回は足部からの運動連鎖に着目してみましょう。

ヒトの身体は、骨構造や靱帯の制動によって、隣り合う関節に運動が波及していきます。

このような「ある関節で運動が生じると、その運動の影響が隣接する関節に波及すること」を運動連鎖と呼びます。

分かりやすいところだと、骨盤の前傾に伴い腰椎は伸展しますが、これも運動連鎖の一つですね。

このような運動連鎖が足部と下腿にも生じるので、足部のアライメントを整えることは、下腿外旋位の改善のために大切です。

足部の細かい連鎖はさておき、距骨の上に脛骨が乗るような形で距腿関節を構成しているので、距骨と踵骨による距骨下関節が回外位になると、下腿は外旋します。
※イラストは距骨下関節回内時の運動連鎖

コンディショニング指導の現場で多いのが、距腿関節底屈時に距骨下関節が過剰に回外し、下腿も外旋しているケース。

そのような方にオススメなのが、ピラティスチェアを使ったシーテッドレッグパンプスです。

ピラティスチェアを使ったシーテッドレッグパンプス

足部のエクササイズは正しいフォームで実施することが難しいのですが、ピラティスチェアを使ったシーテッドレッグパンプスは、座位で行えるので足部に集中してエクササイズできます。

そのため、足部のトレーニングが不慣れな方でも正しいフォームで実施しやすいというメリットがあります。

ポイントとしては、距腿関節底屈位で運動をコントロールする際に、小趾球側に荷重し過ぎてしまうと、距骨下関節が回外して下腿も外旋しやすくなるので、しっかりと母趾球側に荷重するようにしましょう。

また、足部に集中すると、膝が内側に入ったり、外側に向いたりしやすいので、距腿関節-膝関節-股関節のラインを真っ直ぐに保つようにすると、より効果的です。


今回は、下腿外旋位の膝関節への影響と、足部からの運動連鎖を活用したピラティスチェアエクササイズについて解説しました。

膝を痛めてしまうことで、歩行や階段昇降などの日常生活で制限が生じるだけでなく、登山やスポーツなどの趣味を存分に楽しむことが出来なくなる可能性もありますよね。

障害が生じやすい部位だからこそ、しっかりとコンディショニングしていきましょう!

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さらに詳しく学び、ピラティス指導に活用していきたいという方、ピラティスの資格取得をお考えの方は、「Pilates as Conditioning Academy」もぜひご覧ください。

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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

理学療法士
中北貴之

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