エクササイズ

歩行機能改善に効果的なピラティスチェアエクササイズ

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人類は直立二足歩行を獲得したことで、上肢を自由に使えるようになって道具の操作が可能になり、脳が発達して重たくなっても支えられる土台が整い、少ないエネルギーで遠くまで移動できるようになりました。

このように、人類の進化にとって重要な役割を担ってきた歩行。

「歩き方を良くしたい」
「靴の外側だけ擦り減るんです」
「長く歩くと腰が痛くなってきます」

などなど、歩行に関わるお悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。

今回は、歩行機能改善に効果的なピラティスチェアエクササイズをご紹介いたします。

歩行周期

一口に歩行と言っても、地面への接地、重心の移動、地面を蹴る、足を振り出すなど、多くの場面に分かれます。

それぞれの場面で必要な関節運動や筋活動は異なるので、歩行に介入する際には、歩行周期の理解が大切です。

歩行周期の相分けに広く用いられているのが、ランチョ・ロス・アミーゴ方式で、歩行を8つの相に分けています。

歩行周期は、足が地面に接している立脚相と、空中にある状態の遊脚相に大別され、1歩行周期において立脚相が60%、遊脚相が40%を占めています。

それでは、各相での目安となる下肢の関節運動について確認していきましょう。

①初期接地(IC:Initial Contact)

下肢が地面に接触する瞬間で、次の荷重応答期で適切に衝撃吸収する為の準備期でもあります。

・距腿関節 :底背屈0度
・距骨下関節:軽度回外位
・膝関節  :完全伸展もしくは、わずかに屈曲位

②荷重応答期(LR:Loading Response)

初期接地から、反対側の下肢が離地するまでの期間で、体重の1.5~2倍も加わる衝撃を吸収しながら、前方への動きを誘導します。

・距腿関節 :軽度回内位
・距骨下関節:回内位
・膝関節  :約15度屈曲位


 ③立脚中期(Mst:Mid Stance)

反対側の足部が離地してから、立脚側の踵が離地するまでの期間で、片脚支持となります。

変形性膝関節症の方で多く見られるのが、この立脚中期に股関節が内転せず、内反膝の状態で片脚立位となってしまい、膝関節への侵害刺激が増加してしまうケースです。

・距腿関節 :底屈位から背屈位へ
・距骨下関節:回内位から中間位へ
・膝関節  :約5度屈曲位
・股関節  :約5度内転位

④立脚終期(Tst:Terminal Stance)

立脚側の踵が離地してから、反対側の初期接地までの期間です。

中足趾節関節(MTP関節)によるフォアフットロッカー機能で重心を上方へと修正できないと、反対側下肢の振り出しが不十分となり、歩幅が狭くなって不安定な接地となってしまいます。

・距腿関節 :約10度背屈位
・距骨下関節:中間位もしくは軽度回外位
・膝関節  :約5度屈曲位
・股関節  :10~15度伸展位

⑤前遊脚期(Psw:Pre Swing)

反対側の初期接地から、立脚側のつま先の離地までの期間です。

ゴムが引き延ばされるように、遠心性収縮していた股関節屈筋群や足関節底屈筋群が、求心性収縮に転換することで、前方への推進力が生まれます。

・距腿関節 :約15度底屈位
・距骨下関節:中間位もしくは軽度回外位
・MTP関節 :約60度伸展位
・膝関節  :約40度屈曲位
・股関節  :約10度伸展位

⑥遊脚初期(Isw:Initial Swing)
→⑦遊脚中期(Msw:Mid Swing)
 →⑧遊脚後期(Tsw:Terminal Swing)

立脚側のつま先が離地して両側下肢が交差する遊脚初期から、初期接地直前の遊脚後期までの期間です。

つま先が地面に当たらないようにしながら、下肢を前方へと振り出します。

・距腿関節:軽度底屈位から中間位へ
・膝関節 :約60度屈曲位から約5度屈曲位へ
・股関節 :約20度屈曲位へ

このように、歩行周期は8つの相に分けられ、それぞれ必要な関節運動は異なるんですね。

衝撃吸収と推進力形成

歩行時の足部に求められるのが、「衝撃の吸収」と「推進力の形成」という2つの役割。

初期接地(IC)では、体重の1.5~2倍もの負荷が加わるので、立脚中期(Mst)にかけて衝撃を吸収する必要があります。

仮に衝撃を吸収できなければ、膝関節、股関節、脊柱、脳など、身体の様々な部位に、大きなストレスが加わり、その積み重ねが、歩行時の膝や腰の痛み、身体の過緊張へとつながってしまうことに。

適切に衝撃吸収するには、足関節の背屈可動性や、前脛骨筋、大腿四頭筋、大殿筋などの遠心性収縮によるブレーキ、足部アーチの適度な沈み込みが重要です。

続いて、推進力形成で求められるのが、足関節や中足趾節関節(MTP関節)の背屈可動性、股関節の伸展可動性、足部アーチの剛性。

これらの機能が破綻していると、下腿三頭筋や股関節屈曲筋群を過剰に使った歩行になるため、歩行速度の低下や、疲れやすさにも影響します。

また、股関節の伸展可動性低下の代償として、腰椎骨盤帯での回旋が過剰になり、腰痛につながることも考えられます。

歩行機能改善に効果的なピラティスチェアエクササイズ

このように、歩行機能には足部アーチが不可欠です。

足部アーチ機能を高めるためにオススメのピラティスチェアエクササイズが、スタンディングレッグパンプス。

レッグパンプスでは、下腿三頭筋や後脛骨筋、長腓骨筋などの足部アーチを保持する役割がある筋群を活性化することができます。

また、片脚立位でエクササイズを行うので、足底に起始と停止があり、足のアーチ機能に関わる足部内在筋の筋活動も高まります。

エクササイズのポイントとしては、足部のアライメントが崩れないように、母趾球と小趾球でバランス良くフットペダルや床をプッシュするようにしましょう。


今回は、歩行機能改善に効果的なピラティスチェアエクササイズについて、歩行の運動学と共に解説いたしました。

適切な足部アーチを保ち、効率良く歩ける身体づくりをしていきましょう!

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

理学療法士
中北貴之

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